学生時代から続いていたノートでの些細な悩み
僕は、小学1年生から最近になるまで、とある些細な悩みを常に抱えて過ごしてきました。
それは何かと言うと、「勉強をするときに、ノートを取るという行為の煩わしさ」です。
確かに、自分が学んだことや大切なところをメモしておかなければ、
その勉強内容のポイントは見えてきませんし、
テスト前に効率よく覚え直すことも困難になってしまいます。
しかし、基本的に参考書や本に書いてある内容を書き写すのは2度手間なような気がしますし、
ノートに書いてある内容が全て重要かと言う、そういうわけではなく、
ノートを取ったとしても全く使わない知識もあるわけです。
この「無駄が多くてスマートじゃない」という感覚が、非常にムズムズしていました。
「どういうノートの使い方をすれば、この不快感が取り除けるだろうか?」ということを、
微かに考え続けてきました。
デジタルノートという革命
僕はアナログノート(よくある手書きノート)では、1教科につき1冊のノートを用意する派でした。
つまり、国語には国語のノート、数学には数学のノートを用意して、授業を受けていました。
ですが、これには様々な問題があります。
- ノートの数が多くなり、持ち運びが面倒(「一元化」が困難)
- やけに記述の多いノートと中身が殆ど無いノートが出てきてしまう(無駄が出る)
- そもそも書き込むのに時間がかかる。開閉するのも面倒に感じる時がある(使いにくい)
これらの問題を受けて、大学生になってからは、
1冊のノートにすべての教科の学びを書いていくことにしました。
つまり、1冊の中に数学の計算が書いてあったり、有機化学のベンゼン環が書いてあったり、
生理学の脳の構造が書いてあったりするのです。
しかし、これにも大きな問題がいくつかありました。
- 持ち運びは非常に楽だが、特定の知識を振り返りたいときにどこに書いてあるかがわからない
(「検索」が困難) - 久々に学び始めると、前回どこまで勉強したのか、どこまで理解したのかを把握できない
(「学びの保存(=セーブ)」が困難) - その1冊を忘れたり、紛失したり、水没すると悲惨なことに・・・。
(リカバリーが効かない)
アナログノートだけでは、二律背反の様々な問題が生じていましたが、
そこで出会ったのがデジタルノートの一種の「Evernote」でした。
Evernoteを用いることで、上記の問題点が見事に解決されます。
- 「一元化」が困難 :簡単に見直すことができるので、「とりあえずEvernoteに入れておく」という選択肢ができる
- 無駄が出る :作成したノートは手軽に削除が可能なので、無駄が出にくい
- 使いにくい :アプリをワンタップ、クリックで手軽にノートを呼び出すことができ、すばやく入力が可能
- 「検索」が困難 :キーワードで検索が可能(!)
- 「セーブ」が困難 :前回使ったノートを呼び出せばその続きから書き込むことができる
- リカバリーが効かない:クラウドサービスなので、スマホでもiPadでもPCでも書き込むことができ、それらがすべての媒体でリアルタイムで反映される。
特に、アナログノートでは搭載が難しかった「検索」の機能が、
手軽に使えるのは非常に革命的でした。
「あれ、なんだったっけな~」と思ったときに、
すぐにその情報にアクセスできるのは非常に心地が良いです。
まさに、「自分専用のGoogle」を作ることができます。
後から使いたい情報を放り込んでおいて、検索してそれを見つける。これがEvernoteです。
(もちろん、他にも色々な使い方はありますが、ここでは割愛します)
社会人になってからしばらくはアナログノートも一部使っていましたが、
専らEvernoteに勉強のノートを取っていました。
しかし、最近になって、更に便利なITサービスが登場しました。
「Scrapbox」って何?
全く新しい情報整理ツールとして突如として現れた革命的ITサービス、
それがScrapbox(スクラップボックス)です。
Scrapboxは、HP上では以下のように説明されています。
チームのための新しい共有ノート
あらゆる情報を自動で整理することができる画期的な知識共有サービス
チームで使うことを前提に作られています(同じページの大人数による同時編集が可能)ようですが、
個人用の使用でも多くの恩恵を受けられます。
何がそんなに画期的なのかというと、
これまでの「情報整理」の概念を根本的に変えてしまったからです。
これまでの「情報整理」は、「特定の場所を設けて、そこに情報を置く」のスタイルが主流でした。
例えば、冒頭に書いた「1教科につき1冊のノートを用意する」もこれに該当します。
「国語のノート」という“場所”を設けて、「国語」に関する情報を置くことで情報を整理していました。
他にも、PCのフォルダの階層構造がわかりやすいと思います。
「デスクトップ」という場所を設けて様々なショートカットアイコンを置いていますし、
「ピクチャ」には画像ファイルを、「ミュージック」には音楽ファイルを分類して整理をすることで使いやすくしています。
そして、デジタルノートの登場により、「場所」を重要視していた情報整理の概念に革命が起こります。
具体的には、重要視する対象が「場所」ではなく、「時間」となりました。
Evernoteは、すべてのノートが1箇所にまとめて上から順に縦に並べられており、
記述が更新されたノートが最も上に自動的に移動します。
(PCの「最近使ったファイル」と同じ現象がEvernote上で起こります)
すなわち、使用頻度の高いノートが使いやすい位置に移動してくれるのです。
この性質に加えて「検索」機能が使えることによって、もはや場所を設けたり、
情報を分類する必要がなくなりました。
「場所」という制限を廃絶し、すべての情報を一元管理できるようにしたことが、
Evernoteなどのデジタルノートが起こした革命です。
ところが、Scrapboxはさらにこの上を行きます。なんと、「時間」という制限すらも廃絶させました。
(厳密に言うと、「時間」の概念はまだ残っていますが、使わなくても済むようになりました)
Scrapboxの特徴的な機能として挙げられるのが「ハイパーリンク」を用いる点です。
ハイパーリンクとは、言わば「特定のページに飛んでいけるワープ装置」のことです。
Wikipediaを過去に1度でも使ったことがある人はおわかりだと思いますが、
長々と続く文章の中にところどころクリックできる箇所があったと思います。
このように、ハイパーリンクを用いることで、「場所」も「時間」にも縛られない、
「ネットワーク状」に情報を整理できます。
ネットワークを形成するために、情報整理側がやらなくてはならないのことが
「ハイパーリンクを貼っていくこと」となりますが、
Scrapboxではそれが非常に簡単な操作で感覚的に行うことができるようになっています。
すなわち、Scrapboxはハイパーリンクを次々と貼っていくことで
様々な情報をつないで整理していけるネットワーク型情報整理ツールなのです。
Evernoteが「自分専用のGoogle」ならば、Scrapboxは言わば「自分専用のWikipedia」となります。
Scrapboxの導入の仕方、基本的な操作方法については、別途記事を作成致しました。
Scrapboxを勉強に活かす!
実は、Scrapboxのハイパーリンクを使ったネットワーク上の情報整理方法は、
脳の動きに非常にマッチした心地が良いものとなっています。
僕たちは1つのことを考え続けるのが苦手です。
会社で「この仕事、どうやって進めていこうかな?」と考えていたと思ったら、
次の瞬間には「そういえば、昨日見た映画面白かったな~」などのように
全く関係ないことを突発的に思い出していることが多々あります。
つまり、思考が突然「脱線」してしまうのです。
思考が脱線した結果、そのことが気になり続けると目の前のことに集中できなくなってしまいます。
これは勉強中にも起こることで、「今日はTOEICの勉強をしよう!」と机に向かって勉強していたら、
「そういえば、目標達成の原則についてまとめておきたいな~」と突発的に思い立つときがあります。
そんなときには、思いついたことをパパッと書きとどめておくことで、
思考が整理されて本来やるべきだった勉強に再度集中できるようになります。
このような手順をふむことで、脳の中で生じた思考をScrapboxに見える化させることができます。
そして、上記の手順を何度も繰り返すことで、
徐々にScrapboxに自分が脳内で考えていることの全体像が作り上げられていきます。
つまり、Scrapbox上に「第二の脳(Second Brain)」が作り上げられることになります。
そして、その第二の脳上に多くのハイパーリンクを張り巡らせることで、
好きなようにネットワークを構築して、ページを行ったり来たりしたり、新しいことを学んだり、
考えたりすることで、第二の脳を育てていくことができます。
第二の脳上を行ったり来たりすることで、ハイパーリンクの構造が徐々に頭に入ってきて、
結果的に現実世界の脳のネットワークが出来上がっていくのです。
これはまるで、授業でノートを取っていただけでテストが解けるようになるようなお得感があります。
僕は、こんなノートを長年待ち望んでいたのです。
僕の現在のScrapboxの使い方
僕はScrapbox=「勉強専用のノート」と位置づけています。
なので、日記やTodoなどの余計な情報は載せないようにしていますが、
やろうと思えばそういった情報を取り扱うことも可能です。
基本的に、勉強するテーマや、読んでいる本、考え事のテーマごとにタイトルを付けています。
画像も簡単に挿入することができるので、読んでいる本の表紙の画像を載せておくと
その本のノートであることがすぐに分かって便利です。
書く内容について、基本的に「どうせ後で書き足せるから、中途半端な書き込みでもOK」
という緩いスタンスでいろいろ書いています。
書いている途中で思いついたことがあったら、上記のようにハイパーリンクを足して、
そのページに書きたいことを書きに行くという感じです。
読書するときには、大事・大切だと思った記述を写経する感じです。
これも厳密にはやらずに、多少僕の表現に直して書くなどのゆる~い感じです。
このように、ゆるい雰囲気でノートを取っていけるというのもScrapbox の魅力なのかもしれません。
それでは、ありがとうございました。